みちのく潮風トレイル(略称、MCT)とは東北太平洋沿岸にある1000km以上ある長距離自然歩道です。
そのMCTを2023年春に44日かけて、スルーハイク(全線踏破)しました。
今回はそのMCTのスルーハイクの感想を紹介します。
目次
みちのく潮風トレイルとは
みちのく潮風トレイル(Michinoku Coastal Trail、略称:MCT)とは、青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸をつなぐロングトレイルです。
その距離はなんと、全長1000km以上あります。
東京から大阪までの距離はだいたい500kmなので、東京〜大阪を往復できる距離です。
これだけ長さの道が1本の道になっていると思うとワクワクしませんか?
MCTでは、美しい自然風景を楽しむことはもちろん、厳しくも豊かな自然と共に暮らしてきた歴史や文化や、地域の人々との温かな交流を体験することができます。
みちのく潮風トレイルをスルーハイクした感想
私が、MCTを2023年春に44日かけてスルーハイクして感じたことは以下になります。
- きれいな海岸風景
- 自然と人間の関係を考え直すきっかけになった
- 日本のハイキングカルチャーの成長を見れる
きれいな海岸風景
みちのく潮風トレイルでは美し景色にたくさん出会うことができました。
その中でもたくさん目にしたのが、きれいな海です。
正直、東北の海がこれほど透明できれいだとは知りませんでした。
穏やかな砂浜、岩に打ち寄せる波の迫力、海岸侵食でできた複雑でダイナミックな風景。
自然の美しさと力強さを同時に感じることができ、その光景に心を奪われました。
ちなみに、MCTは舗装路が多く大体7割くらいあります。
舗装路は足に対する負荷は自然道に比べると大きいですが、景色が良いところを歩くことが多かったので、私は楽しく歩くことができました。
もちろん、海だけでなく森林や山も自然豊かで歩いていて気持ちが良いです。
トレイルから海が見えなくても、波の音が聞こえる事があるので海を感じる事ができます。
自然と人間の関係を考え直すきっかけになった
みちのく潮風トレイルは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の復興プロジェクトの一つとして環境省に策定されています。
このため、トレイルの近くには震災遺構などの施設が数多くあり、自然の脅威を肌で感じることができました。
ボロボロになった建物や、多くの空き地、震災に関する施設をたくさん見ると少し気持ちが落ち込む事がありました。
ですが、トレイルには他に素晴らしい風景がたくさんあります。
海底が見えるほど透き通った海、岩に打ち寄せる大迫力の波、美しいグラデーションの夕焼け空など、素敵な風景を見ると心が震えるような感動があり、マイナスな感情を癒やしてくれます。
漁港や地域住民の暮らしを目にすることもたくさんあります。
被災に遭ってなお、同じ地域に暮らし続けている人たちもたくさんいます。
MCT沿いは豊かな水産資源があり、たくさんの漁港があります。
前向きに、たくましく生きている地域の人々の姿に元気をもらう事がありました。
当然のことですが、自然をコントロールすることはできません。
自然はときに厳しく、ときに優しい二面性があります。
みちのく潮風トレイルを歩いて、自然と人間の共存について考え直す良いきっかけになりました。
日本のハイキングカルチャーの成長を見れる
私はMCTを歩いた前年に、アメリカのPCTというロングトレイルを歩いています。
PCTでは日本ではあまり考えられないような、ユニークなトレイルカルチャーを体験しました。
PCTは50年以上の歴史があり、トレイル周辺の町にはハイキングが文化として根付いています。
「アメリカのロングトレイルを歩いた後、日本のロングトレイルを歩いたらどのように感じるのか?」という疑問を確かめることが、今回の旅の動機の1つになっています。
MCTは2019年に全線開通した歴史が浅いトレイルです。
2023年時点で、MCTにトレイルカルチャーは一部の地域では定着しつつありますが、まだ発展途中という印象でした。
MCTは北から開通していったので、北側ではMCTが認知度が高く、「トレイルを歩いているのか?」などと呼び止められることがありました。
しかし、南側ではMCTのことを知らない人も多く、管理団体や自治体がいろんな取り組みをしていました。
ですが、多少ばらつきはありつつも全線を通じてMCTにもハイカーをサポートしてくれる、宿やお店、地域の方がたくさんいます。
中でも、三陸駅の潮目はMCTハイカーにとっては一番有名な場所かも知れません。
カラフルな建物で疲れた体を休めるだけでなく、少し歩けは商店や居酒屋がコンパクトにまとまっています。
また、三陸駅周辺のトレイルにはハイカーを楽しませてくれる仕掛けがあり、歓迎されている気持ちになり嬉しかったです。
トレイルは漁港の近くなど人の生活圏を歩くことが多いので、地域の人々と交流することもあります。
そのような時に、コーヒーや果物などの差し入れをいただくこともありました。
その中にはMCTのことを知らない人からのご厚意もありました。
そういった方に1000kmの道を歩いていることを話すと、多くの人は驚いて楽しそうに話を聞いてくれました。
人との交流を通じて温かな気持ちになったり、このようにしてトレイルカルチャーが根付くのかと感じました。
MCTはまだ発展途中のトレイルですが、このような時期に歩くことができたのは貴重な体験でした。
これからどのように成長をしていくか楽しみです。
まとめ
MCTを歩いて感じたことは以下の3つです。
- きれいな海岸風景
- 自然と人間の関係を考え直すきっかけになった
- 日本のハイキングカルチャーの成長を見れる
みちのく潮風トレイルは1000kmを超えるロングトレイルです。
長い距離を歩く中で、自然の恵みや脅威、人々の暮らしなどの様々な景色に出会えるのがMCTの魅力です。
この記事で少しでもみちのく潮風トレイルに興味を持ったり、歩くきっかけになったら嬉しいです。
MCTスルーハイクについての記事がありますので、よかったら合わせて読んでください。