2023年4〜5月にかけて東北太平洋沿いにある1000km超のロングトレイル、みちのく潮風トレイル(以下略、MCT)をスルーハイクしてきました。
今回はMCTのギアリストを紹介します。
みちのく潮風トレイルは1年を通して歩けるシーズンが長いので、その時期に合わせた装備を持っていくことが大切になります。
これからMCTをスルーハイクする人の参考になったら嬉しいです。
ギアリスト
2023年4〜5月にMCTをスルーハイクしたときのギアリストは以下になります。
ベースウェイトは約6.2kgです。
ベースウェイトとは、食料や燃料など消費品は含まない荷物の総重量になります。
荷物が軽量化することの恩恵は大きいです。
荷物が軽ければ、体への負荷は少なくなるので、長距離でも楽しく歩くことができるようになります。
ハイキングでは荷物の重さはとても大切ですが、それと同じ位大切なのが自分の能力や目的に合わせてギアを選ぶことです。
重さばかりを気にして、窮屈な思いをしてしまっては本末転倒です。
荷物の重さと旅の満足度を向上させるギアのバランスを模索していくのがハイキングの醍醐味の1つであり、それが上手くできるとハイキングはより楽しくなります。
それでは、MCTで使ったギアを紹介していきます。
バックパック
今回、バックパックで意識したことは以下になります。
- MCTは食料の補給がしやすいので、そこまで大きなバックパックは必要ない
- 荷物が重くなることはないので、フレームの有無は問わない
- 日本は雨が降ることが多いので耐水性の高いバックパックが必要
そこで選んだのが、Zimmer Builtの「Pika Pack」です。
Pika Packは容量20〜35Lのフレームレスのバックパックで、メイン大きなメッシュポケットとてもシンプルな構造が特徴です。
見た目がコンパクトで本体の容量は小さ目ですが、メッシュポケットを駆使すれば多くの荷物をしまうことができます。
MCTでは最大6食分の食料をパッキングしましたが、まだ余裕はありました。
Pika Packのメインの素材にはX-Packを使用しています。
X-Packは耐久性・耐水性が高い素材なので、1.5ヶ月間のハイキングでも大きなトラブルが起きませんでした。
ただ、縫い目に防水処理がされていないので完全防水ではありません。
これはほとんどバックパックにも言えることですが、長時間雨にさらされると、バックパックが浸水してしまうことがあります。
なので、バックパックの内側でパックライナーを使って荷物を守ったり、レインカバーなどで濡れ対策が必要になります。
私は軽量で防水性の高いスタッフサックとして、Expedの「Cord Drybag UL」を使って装備をまとめていました。
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テント
テントで意識したことは以下になります。
- キャンプ適地を見つけるのが難しそうなので、柔軟に対応できるギア
- ヒル・マダニに耐性がある
- 新調するにしても予算を抑える
テント・シェルターはステラリッジとLunar Soloを持っていいましたが、今回は何か新しいことに挑戦しようと思い、タープとハンモックの併用にしました。
使ったのはタープにTrail Bumの「CT Tarp」とハンモックにeno「Sub6」です。
複数の野営手段があるのは大きなメリットでした。
タープ泊かハンモック泊、いざとなったらカウボーイキャンプができるので、宿泊先にあまり悩まずに歩き進めることができました。
その日のゴール地点はある程度決めて歩きますが、体調やトレイルの状況によって思うように距離を歩けなかったり、逆に早くゴール地点に到着して継続して歩くこともあります。
こうした時に「どこでも寝れるし、どうにでもなる」という気楽さは私には合っていました。
ハンモック泊はヒル・マダニの対策として試みましたが、まだ時期が早かったのもありタープ泊でも問題ありませんでした。
ただ、4〜5月だと朝晩は肌寒く、ハンモック泊ではマットを背面に敷いても冷える事もありました。
もう少し暖かくなった6〜10月くらいだと、ハンモックがもっと活躍するかもしれません。
ちなみに、軽い自立式テントは高価なので選択肢から除外していましたが、自立式テントもアリだと思います。
自立式テントはペグがさせないところや、狭くてもフラットなスペースがあればどこでも設営できます。
ハンモックは木などの支えがないと設営できないですし、タープはペグが使えない地面では設営難易度が上がります。
「テントならここに泊まれるのにな、、、」みたいな状況はMCTを歩いていて多々ありました。
次回、MCTを歩く機会があれば自立式テントを使ってみたいです。
野営は基本的にキャンプ指定地以外では禁止されいます。
極力、キャンプ場を利用するか、地域の方に確認を取ってルールとマナーを守るようにしましょう。
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ウェア
ウェアについては普段のハイキングの装備とほぼ同じです。
レインウェアを上下、防寒着、予備の肌着になります。
今回のMCTで試しに使ってみたウェアとして、レインウェアとは別にレインケープを持っていきました。
使用したレインケープはTrail Bumの「Gnu Cape」です。
Gnu Capeは袖の長さ丁度良く、体全体を雨から守ってくれます。
更にバックパックにも被せる事ができるので、荷物が濡れるリスクを抑えられるメリットもあります。
また、レインケープはバックパックを背負ったまま着ることができるので、脱着が楽で良かったです。
気になった点は、レインケープは風が吹いていると裾がめくれるところです。
MCTは海沿いを歩くことも多く、風が常に吹いているところでは、ケープがめくれないように注意しないといけなかったのが煩わしかったです。
ですが、MCTは町中や林道などを歩くことも多いので、そのような場所では活躍しました。
状況によってレインウェアとレインケープを使い分ける必要があります。
正直なところレインケープはあれば便利ですが、絶対にレインケープじゃないとダメという状況があまりありません。
性能重視のレインウェアのほうが実用的です。
もし、レインケープをメインで使うなら、悪天候の時は雨宿りをしてやり過ごすなどし、小雨でレインケープでも大丈夫なときに歩くなど、のんびりした旅のスタイルが相性が良さそうです。
クッカー
私はハイキング中に自炊などはあまりしないで、インスタント麺が食べれれば良いタイプなので、シングルバーナーとコッヘル1つとシンプルな構成になります。
バーナーにMSRの「Pocket Rocket2」、コッヘルにTOAKS「LIGHT Titanium 650ml Pot」を使いました。
インスタント麺を作るだけならこれで十分です。
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ガス缶は買える場所が限られるので、補給のタイミングには注意が必要です。
以下のサイトにガス缶が購入できる場所が紹介されているので、一度確認したほうが良いです。
私は宮古市にある「志賀スポーツ」というお店で購入しました。
店長がMCTハイカーということもあり、ついつい長居をしておしゃべりをしてしまいました。
ガス缶以外にもハイキングギアも取り扱っているのでちょっとした補給に便利です。
もしガス缶の補給が心配なら、アルコールストーブが選択肢に入ります。
MCTにはドラッグストアや薬局を多く目にするのでアルコールの調達はガス缶より容易だと思います。
また極論にはなりますが、MCTは1〜2日に1回は食料の補給ができるので、菓子パンやスナックなど日持ちする食料にすれば、クッカー類がなくても歩けます。
寝具
4〜5月のMCTの平均最低気温はだいたい5度くらいです。
これくらいの気温であれば一般的な3シーズンの寝袋で十分だと考え、モンベルの「Down Hugger 650 #3」を使いました。
Down Huggerの快適温度は3度なので、凍えて寝付けないということはなかったです。
ですが、ものすごく冷え込んだときは熟睡できないこともあったので、寒がりの人はもう少し温かい寝袋を選択したほうがいいと思います。
マットにはエバニュー「FPマット」を使用しました。
バックパックに収納でき、背面パッド代わりにもなる耐久性が高い極薄マットです。
アメリカのロングトレイルでも使用した実績があるので、MCTでも採用しました。
FPマットについて詳しく知りたい方はレビュー記事を参考にしてください。
水回り
MCTは水道水やお店、自動販売機などから水の補給できる機会が多いです。
なので水の心配はあまりないですが、スルーハイクをしようとすると1日の間に次の水場にたどり着けない場所もあります。
そのような時のために、沢から水を調達できるようにウォーターフィルターとしてKATADYNの「BeFree」を持っていきました。
BeFreeは柔らかい素材でできているので、使わない時はコンパクトになるので荷物になりません。
500mlのペットボトル2本を普段使いのストレージとして、BeFreeは予備として使っていました。
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アクセサリー
アクセサリー類として、MCTでならではの物としてMap BookとData Book、ハイキングパスポートがあります。
Map Bookは地図で計10冊あります。
Data BookはMCTにあるお店や水場、ランドマークまでの距離がまとまったデータ集です。
Map BookとData Bookを使う場面としては以下です。
- 出発前の計画の時に使用して、全体像を捉える
- ハイキング中の休憩時、次の補給地の確認
- 俯瞰して地形を見て楽しむ
Map Bookは計10冊あり、全てを持ち歩くと300g以上になるので、使わないMap Bookは郵送していました。
Data Book1冊とMap Book3〜4数冊を持ち歩いていました。
MCTの地図はMap Bookだけでなく、オンラインマップやGPX形式データが以下のサイトに公開されています。
ハイキングパスポートはスタンプ帳です。
MCTの色んなところにスタンプポイントが設けられていています。
MCTが通っている28市町村がそれぞれ異なるデザインのスタンプがあり、スタンプを集めて条件を満たすとその市町村のピンバッチを購入することができます。
私は旅の思い出を残そうと思いスタンプを集めていました。
スタンプを置いてある施設でいろんな人と交流することができるので、旅が楽しくなるギアとしておすすめです。
余白もあるので、スタンプ帳としてだけでなく日記やメモを書くにも適しています。
Map BookとData Book、ハイキングパスポートは以下のサイトで購入することができます。
電子機器
地図アプリは非常に便利で行動中はメインの地図になるので、スマホのバッテリー管理が大切になります。
急速充電ができる充電器としてAnkerの「511 Charger (Nano 3, 30W)」と、モバイルバッテリーにAnkerの「PowerCore Essential 20000 PD」を持っていきました。
511 Chargerは軽量・コンパクトで充電も早いので大満足です。
Type-Cが1ポートだけなので複数同時に充電はできませんが、余計なケーブル類を持つ必要がなくなるので荷物がスッキリします。
PowerCore Essential 20000 PDは20000mAhの大容量のモバイルバッテリーです。
私はスマホでYouTubeに動画を投稿するのに撮影や動画編集をしていたのでこのモデルにしました。
1回のフル充電すれば最大4日はモバイルバッテリーだけでスマホの充電ができました。
ただ、モバイルバッテリーは重いので、特別な理由がなければ10000mAh程度かそれ以下のモデルで十分だと思います。
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カメラ
せっかくMCTをスルーハイクするのならキレイな景色を写真に残したいと思い、ミラーレスカメラを持っていきました。
持っていったカメラはOlympusの「OM-D E-M1 Mark III」と「12-45mm F4.0 PRO」になります。
また、今回はカメラのギアにPeak Designの「CAPTURE(キャプチャー)」を使いました。
CAPTUREは写真を撮りたい時にサッとカメラを出せる便利なアイテムです。
CAPTUREをショルダーハーネスとカメラの三脚穴に取り付けることで、カメラをショルダーハーネスに引っ掛ける事ができます。
しっかりとロックされているので、歩いていてカメラが落ちることはなく、ワンタッチで簡単にカメラの脱着をすることができます。
気になる点として、重心が偏るので片側に負荷がかかってしまうところです。
長期間、重心が偏った状態で歩き続けると怪我につながるおそれがあります。
そこで、CAPTUREを取り付けた逆側のショルダーハーネスにペットボトルが入るショルダーポーチを取り付けてバランスを取るようにしました。
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貴重品
現金やカード類をまとめるのに、自作の財布を持っていきました。
自分でギアを作る利点は、自分がほしい物が手に入ることです。
この財布のポイントは、お札とカードをそれぞれ5〜10枚入り、コインケース部分を極力小さくしたところです。
クレジットカードやスマホ決済などキャッシュレス決済できるお店が多くなったので、いざいう時のお札があれば十分です。
また、小銭をなるべく持たないことで多少の軽量化に貢献できました。
この財布はMCTのために作った訳ではないですが、MCTでも意外とキャッシュレス決済ができるお店が多く、1.5ヶ月の間これくらいの容量の財布でも問題ありませんでした。
現金しか使えないお店もありますが、食料を買うのであれば財布に用意していた現金で足りました。
緊急ツール
緊急ツールは通常のハイキングと同じ物を用意しておけば大丈夫です。
MCTで特に気をつけないといけないことは、ヒルとマダニの対策です。
地元の方のお話では、虫除けスプレーが一番効果があるとのことですが、ハイキングで持ち歩くには少しかさばります。
そこで私は虫除けとしてハッカ油を使いました。
時期も少し早かったのもありますが、今回の旅ではヒル・マダニ、その他の虫のトラブルはありませんでした。
また、ハッカ油は虫除け以外にもいろんな用途にも使えるのでとても便利でした。
- 食後にハッカ油を入れた白湯を飲んでリラックス
- 歩き疲れた時に肌に塗ってリフレッシュ
- 町に行く前に汗の匂い対策
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行動着
東北の4〜5月ということであまり気温が高くないので、保温性があるメリノウールのフーディにSmartwoolの「Active Hoody」。
そしてパンツはヒル・マダニ対策でパンツをロングパンツの山と道の「5-Pocket Pants」にしました。
Active Hoodyは行動着としてちょうどよく、歩いていても暑すぎず、肌寒い日もちょうど良い保温性があり、快適に過ごすことができました。
朝晩など冷えるときはフードを被ることで温度調整もできます。
5月に入ってからは日中の気温が高いときは汗をかきました、汗冷えを感じることはありませんでした。
また、自然素材の消臭効果があるので、数日間なら着替えなくても(本人は)匂いが気にならなかったです。
ただ、気になる点は耐久性です。
腰回りにジッパー付きのポケットがあり、そこがバックパックのウェストベルトと干渉してしまい、穴が空いてしまいました。
枝に引っ掛けたり、虫食いのような小さい穴やであれば修理できますが、今回は構造上の問題なので、修理したとしても使い続ける限り同じ場所に穴が開きます。
ロングトレイルを歩くのであれば、余計な装飾がついていないシンプルなフーディの方がこのようなトラブルが起きにくいと思います。
5-Pocket Pantsは流石人気モデルということあり、非常に使い勝手が良かったです。
他のトレイルパンツに比べて特別歩きやすいという訳ではないですが、ハイキングをするのには十分な歩きやすさがあります。
また、トレイルにも町にも馴染むデザインなので、旅の雰囲気を壊さないのも良いです。
濡れても乾くのが早いので、汗や雨をあまり気にする必要がなく、洗濯で洗濯もしやすいです。
気になる点は、スマホポケットが現代のスマホに比べて小いことです。
スマホによってはポケットのボタンが閉まりません。
実際に歩いている時にポケットから落ちることはありませんでしたが、少し心配でした。
靴については、MCTは舗装路を歩くことが多いのでクッションがあるトレイルランニングシューズを使いました
舗装路を歩くとソールがものすごい勢いですり減るのでスルーハイクをするなら1回は買い直したほうが良いと思います。
まとめ
MCTのギアリストについて紹介しました。
自身の体力・経験や旅の目的に応じて装備を選びましょう。
また、歩く季節によって装備は変わってきます。
4〜5月であれば、ヒル・マダニはあまり活発に行動していないのでそれほど重要ではないかもしれません。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
MCTスルーハイクしたときの記事が他にもありますので、よかったら合わせて読んでください