Pacific Crast Trail(以下略、PCT)は4000km以上あるメキシコ国境からカナダ国境まで続くトレイルです。
これだけ長距離になると、計画をたてるのも大変ですよね。
そこで今回は、私が実際にPCTを歩いた行程を紹介します。
- 全行程の日数:152日(2022/05/02〜2022/09/30)
- 総歩行距離:2518.1マイル(約4052.5km)以上
- Zero Day:15日
- 補給回数:28回
PCTの各セクションについて紹介します。
各セクションの特徴を掴むことで、どういったものが必要になるのか、計画するときにイメージがしやすくなります。
これからPCTを歩く際の参考にしてください。
PCTの行程
2022年に私がPCTを歩いたときの行程です。
全行程の日数は152日(2022/05/02〜2022/09/30)でした。
雪が振り始める前に、カナダ国境まで歩き終える事ができました。
ただ、9月に入ってからは積雪の心配を常にしていたため、もう少し速いスタートでもよかったです。
ちなみに、90日以上アメリカに連続滞在する場合、B2ビザの取得が必須です。
総歩行距離は2518.1マイル(約4052.5km)以上です。
一日あたり約16.6マイル(26.7km)以上歩いたことになります。
この距離は正規ルートのみを計算しました。
PCTから外れて歩いた、派生ルートや他のトレイルの距離は含まれていません。
zero dayは15日でした。
大体10日に1日はzero dayを取ったことになります。
実際は、前半に連続でzero dayを取ったり、逆に後半は全くzero dayを取りませんでした。
歩き慣れてくるとzero dayがなくても気にならなくなり、むしろ歩かないと落ち着かないようになった気がします。
zero dayとは、トレイルを全く歩かないで、町やキャンプ地で休息を取る日。略してzeroと言うこともある。数マイル歩いて、町やキャンプ地で休息を取る日をnear zeroとも言う。
食料などの補給回数は29回でした。
大体5〜6日に1回、町に買い物に行ったことになります。
もっと買い物をしていると思ったのですが、意外と補給の回数が少なかったです。
食べ慣れた食料や味を食べ続けていたので、もう少し色んな食べ物に挑戦しても良かったと思いました。
各セクションの特徴
次に、セクションごとに特徴を紹介します。
- 南カリフォルニア
- 中央カリフォルニア
- 北カリフォルニア
- オレゴン
- ワシントン
計画する時のイメージに役立ててください。
南カリフォルニア
PCT全体に言えることですが、このセクションは特に気温が高く非常に乾燥してます。
砂漠の中を歩くので、日本にはない荒涼とした雰囲気があります。
空気中の水分が少ないからか、景色がものすごくクリアで遠くまで眺めることができます。
広い大地に、トレイルがどこまでも続いている様を見るのは心がワクワクしました。
気温が高いので、熱中症にならないように水を頻繁に飲むことになります。
私は水場で、毎回2Lほどの飲水を作るようにしていました。
すべて使い切ることはなかったでしが、のどが渇いても我慢しないで水を飲める状況は気が楽になります。
2022年は、高温と水不足で水場の水温が上がり、藻から毒が発生した事による水質が汚染がありました。
これにより、安全な水場まで12Lの水を背負って歩くことになりました。
自身の体力を見極めて、危険な区間はスキップや町で待機するなどの決断も大切になります。
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また、日差しが強いので、最初のうちは日焼け対策をしたほうが良いです。
歩き始めてから1週間、日焼け止めを使っていなかったのですが、肌のトラブルが発生し、Idyllwildという町で日焼け止めと保湿クリームを買うことになりました。
数ヶ月すると皮膚が強くなるのか、日焼け止めを塗らなくても気にならなくなりました。
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中央カリフォルニア
山岳地域で、3000m級の高い山々に囲まれています。
いわゆるハイシエラ、シエラネバダと言われる山脈の中を歩きます。
ジョン・ミューア・トレイルという有名なトレイルと一部重なります。
アップダウンが激しく、1日に何度も峠を超えることもがあります。
肉体的にキツく、1日に歩ける距離も短くなります。
また、雪が多い年では、早く到着すると残雪によって足止めを食らうことがあるそうです。
私は6月中旬に中央カリフォルニアに到着しました。
2022年の積雪は通年通りで、残雪はほとんどなく、ベストなタイミングで歩けたと思います。
このセクションの大半は、食料をベアキャニスターに入れることが義務付けられています。
ベアキャニスター自体が重く、さらに内容量が限られているため、重さと空腹で苦しみました。
ベアキャニスターとは、食料などの匂いが出るものを密封する入れ物。熊などの野生動物とのトラブルを避けるために使用する。
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その代わり、湖や川がたくさんあるので、水をたくさん持つ必要がないです。
ですが、水回りは蚊が多いので、落ち着いて休憩できなかったりします。
ハイシエラは景色がすごく綺麗で毎日が楽しかったです。
もう少し、のんびりすればよかったと思っています。
PCTの正規ルートから外れますが、アメリカ本土最高峰のMt.Whitneyやヨセミテ国立公園に寄り道するハイカーも多いです。
北リフォルニア
厳しい山岳区間が一段落するので、1日の歩行距離を伸ばす事ができます。
私も、積雪の心配もあったので、北カリフォルニアから少しペースを上げて歩きました。
中央カリフォルニアに比べ大きな山は少なくなりますが、展望にが開けて、開放感がある気持ちがいい風景をたくさん見ることができます。
あと、綺麗な花が多く咲いており、花畑の中を歩くトレイルは少しメルヘンな気分を味わえました。
北カリフォルニアから、過去に山火事でできた焼け跡を歩くことが多くなります。
焼け焦げた木は脆く、安全なテント場を探す際に注意が必要です。
太い枝が自然落下してきたり、野生動物の重さに耐えきれずに、枝が折れて落ちる可能性があります。
2022年は北カリフォルニアのEtnaからオレゴンのAshlandまで、山火事によってトレイルが封鎖されていたので、ヒッチハイクで移動しました。
オレゴン
オレゴンはキツイ上りや下りが比較的少なかったです。
さらに、森の中を歩く時間が長いため、歩くことに集中でき、30マイル以上歩く日もありました。
オレゴンも山火事の焼け跡を歩くことが多かったです。
体が長距離歩くのに慣れてきたのか、zero dayを取らなくても大丈夫になりました。
その一方で、太ももが少しずつ細くなり始めたので、プロテインパウダーを積極的に飲むようにしました。
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オレゴンも山火事によって、1847.8〜1906.9マイルのトレイルが封鎖されました。
迂回するルートはダートロードを使って大きく回り込むため、スキップするハイカーは多かったです。
FarOutという地図アプリが、迂回ルートに対応していなかったので、Google Mapとハイカーボックスにあった紙の地図で歩きました。
ハイカーボックスとは、町や登山口などに置かれている入れ物。まだ使えるけど不要になったギアを入れることができる。その代わり、必要なものを見つけたら自由に持ち出しても良い。
PCTの正規ルートから外れますが、Crater LakeやTunnel Fallsに寄り道するハイカーも多いです。
Timberline Lodgeは映画「シャイニング」の撮影に使われた、歴史ある建物ですが、多くのPCTハイカーはビュッフェ目的で訪れます。
ワシントン
9月になり、早朝が冷え込むようになり肌寒くなります。
曇りや雨・霧の日が増えたので雪の心配が高まりました。
さらに、アップダウンは中央カリフォルニア並にキツく、トレイルが荒れている箇所もあり、倒木も多買ったです。
そして、2022年は山火事が多発して、トレイルがスモークに包まれることもよくあり、いつトレイルが封鎖されるか、わからない状況でした。
個人的に、PCTで一番辛いセクションでしたが、自然の力強さを一番感じることができて、不思議と充実してました。
ワシントンで気をつけないといけないのは補給です。
小さな町やリゾート地は、品薄や物価上昇で満足のいく買い物ができないことがあります。
特にSnoqualmie Pass、Stehekin、Mazamaはその傾向が顕著でした。
ハイカーボックスに食料があることがありますが、あまり当てにできません。
オレゴンのBendなどの大きな町で、食料を郵送するのが無難です。
2022年は山火事によって、カナダ国境までの2628.3〜2661.9マイルが封鎖されました。
このため、私はPCTの管理団体が紹介した迂回ルートを使ってカナダ国境に行きました。
まとめ
私がPCTを歩いた行程について紹介しました。
- 全行程の日数:152日(2022/05/02〜2022/09/30)
- 総歩行距離:2518.1マイル(約4052.5km)以上
- Zero Day:15日
- 補給回数:28回
2022年は山火事が多く、思うようにハイキングができない時もありました。
そして9月に入ってからは、雪が降ってもおかしくない状況なので、いつ旅が終わってもおかしくないと思っていました。
ですが、まず自分ができることをできる限りやって、何かあってもなるようにしかならないと割り切っていました。
自分でコントロールできないことに対して、必要以上に心配しても仕方がないです。
カナダ国境にたどり着けたのは、運が良かったのもありますが、行けるところまで歩こうと思い実行した結果だと思います。
歩くペースは人それぞれ違いますし、トレイルの状況はその時々で変わります。
今回紹介した行程を一つの指標にし、自分に合った計画を立ててください。
これからPCTを歩く人の参考になれば嬉しいです。