2022年の夏にPacific Crest Trail(略称PCT)を歩いてきました。
PCTとは全長4200km以上あるアメリカのトレイルです。
山火事の影響などで迂回したりスキップした区間もあったので、完全なスルーハイク(通して歩ききること)ではないですが、メキシコ国境からカナダの国境まで歩きました。
期間は5月2日~9月30日(合計152日)です。
帰国して1か月ほどたち生活も落ち着てきたので、今回はPCTでの感想を簡単に報告させていただきます。
大自然を満喫
アメリカの広大な自然を満喫してきました。
自然に優越をつける訳ではではありませんが、日本では見ることができない景色をたくさん見ることができました。
砂漠や荒野、険しい山々や奥深い森など時には様々な自然環境。
まるで映画の世界を歩いているような感覚を何度も味わうことができました。
どこまでも続くトレイルは歩くのも楽しいですが、見てるだけでも「この先どんな景色があるのだろうか?」という想像を膨らませてくれてワクワクしました。
テントを使わないで自然をダイレクトに感じることができるカウボーイキャンプ。
満点の星空を眺めながら眠りにつく、とても贅沢な時間でした。
そして、山火事などの自然の脅威。
山火事によって発生したスモークで燻されながら歩いたり、トレイルや道路が封鎖されて計画を変更しなければいけなかったりと苦労をしました。
人間は自然によって生かされているということを改めて実感することができました。
ハイカーとの交流
PCTは世界的にも知名度があり、色んな国から多くのハイカーが歩きにきます。
大自然を求めていた私には少しギャップを感じた部分ではありましたが、他のハイカーとの交流はとても楽しかったです。
素晴らし景色の感動を共有したり、辛い時には励ましあったり、一緒のモーテルに泊まったり。
色んなハイカーと交流を深めて、カナダ国境という同じゴールに向かって歩いてる日々はとても充実していました。
幸運にも私はスタート地点からずっと一緒に歩いていたハイカー達がいます。
3か月ほど彼らと歩いていたのですが、山火事の影響で計画変更をする際に意見が分かれしまい別行動をすることになりました。
彼らと分かれて2か月後、カナダ国境に向かう最後の登山口でカナダ側から戻ってきた彼らと再会できた時は感情が込み上がりました。
私は英語が苦手だったので試行錯誤しながらコミュニケーションを取ったのもいい思い出です。
痛みと空腹との戦い
4200km以上を徒歩で移動するのはとても大変です。
それに加えて、アメリカに滞在できる期間には制限があります。
B2ビザという観光ビザを取得していても滞在できる期間は180日です。
ビザが切れる前に歩ききるには、一日当たり約30kmを歩かないといけません。
朝から夕方まで長時間歩いていると足はむくみパンパンになりとても痛いです。
靴も歩いていくうちにクッション性能が落ちたり、穴が開いてそこから靴が割けてしまいます。そうすると、歩いているだけでも足が痛いです。
幸い、私は大きなケガをすることなく歩き終えることができましたが、ケガをしたハイカーは難しい決断を迫られているケースも多々あったようです。
また、毎日これだけの距離歩いていると途轍もないエネルギーを消費します。
満足できるだけの食料を持ち運ぶのは困難なので、食後以外は常に腹ペコ状態と言っても過言ではないと思います。
長い期間こういった環境で過ごすことで体も慣れていきます。ただ、辛さが完全になくなるわけではないで適度に休憩を取りながらハイキングを楽しみました。
あまり無理をせず、自分のペースで歩くことが大切だと思います。
やらない後悔よりやる後悔
PCTを歩くにあたり、勤めていた会社を退職しました。
ロングトレイルやPCTについて知ったのは社会人になってからで、その当時は「いつか行けたらいいな」という感覚でした。
しかし、そのいつかとはいつなんだろうと考えたら永遠に来ないように感じられました。
このまま社会人を続けていたら半年もの休みを取ることはできないですし、将来、PCTを歩けるだけの時間と体力があるか分かりません。
そもそもPCTへの門がいつまで開いているかも限りません。
このように思ったら、行けるときに行くのがベストではないかと思い立ち行動に移していました。
仕事を辞めたことによって収入源を失いましたが、そのことに対する後悔は今のところありません。
それ以上に充実した日々を過ごすことができたので満足しており、PCTに行かないでいつまでも夢想にふけるよりも、実際に確かめることができたのがとても大きな前進でした。
最後に
ただただ、楽しそうだからという理由でPCTを歩いてきました。
そこには良い意味でも悪い意味でも期待以上のことがあり、とても充実した日々でした。
自分の中で何か劇的に変化があったかと聞かれたら、正直なところよくわかりません。
ですが、純粋な気持ちでPCTに行った過去に自分に恥じないよう、これからも楽しいことに挑戦していきます。
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